秋風

「ども、ごちそうさまでした」
「ありがとうございました。またいらしてね、亀山さん」
「はい。ぜひv」
「では」

がらがらがら、と扉を閉めて花の里をあとにする。
ほろ酔い気分のふたりは、並んで歩きだした。


心地よいさわやかな風が頬をくすぐる。
街灯に照らされる街路樹の葉は、1・2枚色付きはじめていた。


「日本は、だいぶ秋らしくなってきましたねぇ」
「そうですねー。もうクーラーもいらないくらいですし」
「いいですね。こうやって四季折々のいろんな空気を肌で感じられるというのは」


右京の言葉に、亀山は納得したように大きく頷いた。
この男は右京の言葉がなければ
そんな些細な気候の変化に気付くはずもなかっただろうが。


「日本に帰って来て良かったです?」
「そうですね。またこうして、この空気を味わえるわけですし」


亀山がへへっと笑う。
別に日本の四季に関しては、特に彼が何かをしたというわけではないのだが。



それとも、心の中を読まれてしまったのだろうか...。




「右京サン、なんならもう一件、行きません?」
「それも良いですね」
「でしょでしょ?」
「それとも、もしよろしければ僕の家で飲み直しますか」
「えっ。いいんですか?」
「かまいませんよ。ただ帰国してまだ間がないので、あまり片付いていませんが」
「いえいえ大丈夫ですよそれくらい!...それじゃ、喜んで♪」



異国で味わった、あのどこかレトロで新鮮な空気も良かったのだが
ひとりで感じる風よりも、
貴方とともに感じる空気のほうが心地よいと改めて実感させられた。





少しでも長く
貴方と同じ風を感じていたいから。

タイトルも短ければ話も短い(苦笑)
2nd第1話、右京サンが帰国して亀山クンと再会した夜という設定のお話です。
久々に会ったふたりだから、積もる話で盛り上がったのは間違いないでしょう!
ただ、どうしても右京サンのマンション(あんなの勝手な個人設定)に
連れていきたかっただけです(笑)
右京サンの部屋でふたたびお酒を酌み交わしたあと
どうなってしまったのかは、みなさまの御想像にお任せしますv

...言わなくても決まってるけどね♪