退屈しのぎキャプション

夜。
今日は非番なのに、無性に酒が飲みたくなってやってきた『花の里』
ここなら落ち着くこともできるだろうと、いつもと同じ気分だったのに。

「いらっしゃい」

扉をあけると、たまきの透き通った声。
そして、いつもの席へと足を一歩踏み出そうとした時に、先客がいることに気がついた。
僕の席のすぐとなり。右側の角の席に。
それはよく見覚えのある、いつものジャンパ−のうしろ姿。
「あ、右京サン。お先いただいてます」
彼は、口の中に頬張ったものを急いで飲み込みながら振り向いた。
「おや、来てたんですか」
「あはは。いや−、右京サンなら非番のときでも、なんとなくココに来そうだな−と思いまして」
席についた僕に酒をすすめながらさらりと言う。
それは、僕に逢いにわざわざここに来たんですか?
...とは、さすがに聞けなかった。
「何かあったような口振りですねぇ」
内に込めた感情は表に出さずに、話をうながす。
「それがね!聞いてくださいヨ!今日、少年課の応援に行ってたんスけど、
 しょっぴいてきたガキどもがムカツクのなんのって!!!」
そして酒のイキオイにまかせてかいつもどおりなのか、
おそらく誰かに話したくて仕方なかったであろう想いを爆発させる。

感情のままに言動する君。
その君の言葉に何度ドキリとさせられ、何度惹かれたことだろう。
単純な君のことだから、そのほとんどが無意識の行動なのだろうが
僕にとっては、それがうらやましい。

「...っとに、可愛気がないったらありゃしない!最近のガキ『素直』ってコトバを知らないんですかね。
 そう思いません?右京サン」
「そうですねぇ。世の中みんな君みたいに単純だったら、物事はもっとすんなりと運ぶのかもしれませんね」
「そうそう。俺みたいに............って、どういうイミですかそりゃ!!」
期待を裏切らない反応に、思わず笑いが漏れた。
彼はちょっと拗ねた素振りで、自分で酒をついで飲み干す。

「はい。おまちどうさま」
新たな熱燗と、そしていくつかの小鉢が目の前に並べられる。
「あ、どうぞどうぞ」
銚子をとり、彼が酒をついでくれる。

ねぇ、亀山君。
非番の今日、手を持て余してしまったからここへ来たということを
果たして君は推測していたのでしょうか?
それとも...。

だけど、誰かと飲む酒がこんなにも楽しいものだということを
僕に思いださせてくれたのは、まぎれもなく君でしたよ。

ものすんごく短くて申し訳ないです!
サブテェマは『右京サン。ココロの中で告白するの巻』になってるし。
はじめはそんなコトを狙ったわけではないんですがね。
おかしいなぁ。
初作品(?)がこんなのでスミマセン。