たくさんの好きと、たくさんの愛を、きみに

背中にまわされた腕に、どきりと胸が高鳴った。

そして、同時に何かあたたかいものが流れ込んでくる。

小柄な身体は

腕の中にすっぽりとおさまっていた。



瞳を閉じると

幾分早くなっている自分の心臓の音にまざって

彼のやさしい鼓動が聞こえてきた。



今、この腕の中にあの人がいる。

信じられないような

まるで夢の中にいるような気分。

愛おしさが込み上げてきて

抱き締めた腕に少しだけ力をこめた。



臆病だったあの頃の俺は、もういらない。

これからは

たくさんの好きと

たくさんの愛を

あなたに。




そして願うことなら

ほんの少しでもかまわないから

俺にも返してもらえれば....なんて。

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